よく「今の世の中狂ってる」って言う人いるけど、狂ってなかった世の中って、その人にとって何時なんだろうね。

日本の歴史を紐解くだけでも、いつの世だって乱れていて、世直し世直しって叫んでるわけです。どんな宗教を取り入れてみても、どんなに前の社会システムを転覆させても、人の心は新しい不満で充満します。世界を見渡しても人類の歴史はつねに狂気の中にいます。十字軍遠征の時代からイスラムとキリスト教の問題は根が深く複雑になるばかりで何にも解決していません。
人間に限らず、別の個体としてこの世に存在したからには、その立ち位置が全く同じ座標軸なんて有り得ない訳で、その分、考え方も利害関係も変わります。一つの方向にソートされている秩序立った世界や社会なんてありえない訳だし、そんなのがあったらそれこそ恐ろしいし、それを夢見た独裁者が成功した試しなんて一度もない。
多分、「今の世の中狂ってる」と発言をしている人にとっての「狂ってなかった世の中」って子供の頃の学校の中の世界、つまり、モデルとして構築された擬似社会に住んでいた頃のノスタルジーに過ぎないのではないか、と思うのです。無知や未熟と引き換えに安全を“ある程度”保障されていた世界。
学校では人の世の矛盾や齟齬をある程度回避しながら意見の合わない他者とも付き合っていかねばならない、それこそが人生である、なんて教えてくれない訳で、いくらそこに理想を求めても、それはアメリカなどで起こった学校での乱射事件などでご存知の通り、銃弾一発で撃ち砕かれる程脆い世界です。
どんな時代であっても、自分の不幸を他人になすりつけたところで何も解決しません。だからこそ、我々はしぶとく生きて行かねばならない。ただ、それだけです。