クラシカル・プレイヤーズ東京(感想編)


先日は、クラシカル・プレイヤーズ東京によるピリオドの金管楽器とフルート(とティンパニ)によるコンサートを聴きに東京芸術劇場へ。
日本古楽界の至宝、有田正広さんがご出演ということもありますが、こういった、煮干しと醤油とネギと麺だけのシンプルで渋いラーメンのような公演に、満員のオーディエンスが集まる状況になってきたというのは本当に嬉しいものです。
(鑑賞した曲の感想は長〜くなるので改めて書きます)
今回の公演には、他の古楽のエキスパートたちに混ざって東京交響楽団首席奏者の鳥塚心輔さんが、ヒストリカルトロンボーンとオーバルのバリトンホルンの演奏で参加されていました。ご本人は謙遜されていますが、とても素晴らしい演奏でした。
現在、古楽の専門奏者のレベルは著しく向上し素晴らしい演奏会や録音も増えつつありますが、それのみならず、世界の多くのトップ器楽奏者たちが、ピリオド楽器に注目し、習得し、演奏を披露する動きが大きくなっています(トロンボーンでいうと清水真弓さんが最近は熱心にピリオドを演奏されています)。
これはピリオド楽器を演奏することが流行りだからとか、そういう訳ではなく、普段モダン楽器を演奏している彼らにとって、ピリオド楽器を通しての音楽へのアプローチが、モダン楽器で演奏する際に着実にフィードバックされるモノが大きいから、ということもあるのだと思います。
音色やフレージングのみならず、音楽の組み立て方に至るまで、その音楽が書かれた時代と奏法を身体で知っているか否かで、では、モダン楽器としてそれらの音楽に対してどうアプローチしていくかとプランニングしたときに、引き出しの数が全く変わるからです。
リスナーとしては引き出しの多い音楽家の演奏の方が魅力的ですものね。
また、アマチュアプレーヤーにとっては、実際ピリオド楽器を演奏する機会は難しくとも、聴く機会は増えつつあるのですから、アンテナを張ってぜひ耳にしていただきたいし、聴くだけでも自分自身の音楽活動にフィードバックできることが沢山あります。
こういった公演がもっと増えていけばいいなぁと思うし、私もそういった活動のお手伝いができればと考えています。