殻を破る


玉木優トロンボーンリサイタル「殻を破る」、まずは東京公演が盛況のうちに無事終了しました。まだ1ヶ月後には大阪公演も控えておりますし、アートワークを担当させて頂いている私から公演内容に関する仔細を書くことは(ネタバレになるので)出来ないのですが、ツラツラと。
 
玉木さんの「殻を破る」は今に始まったことでなく、氏の人生のテーマなのだと思います。もちろん類稀なるテクニックと音色と音楽性と持ち主ですし海外に活動の拠点を置かれていることからも、その評価は日本に止まらないものです。事実、東京公演は大変素晴らしい音楽で溢れていました。
しかしながらご本人も仰っているように、メンタルが他の方々より滅法強いのかというとむしろその真逆なのだと思います。氏の話を伺うにつけ常に不器用なほどに悩み迷っている。そういうメンタリティーの弱さをどうカバーして行くのかというとき、殆どの人は、今受けてい世間の評価を壊さない様に、自分の手技で何となく上手にまとめてしまう方へ向かいがちです。絶対その方が楽だから。ところが玉木さんは違うんですね。常に危ない橋を渡る(笑)。弱い自分にさらなるハードルの高い負荷をかけることによって前の自分を乗り越えていく。全ては音楽表現の高みのために。
今回のパートナーであるピアニストの城さんとも話したのですが、表現のため「前に転ぶ」ことはアリなんです。及び腰になって後ろに転ぶと自分を制御できなくなります。それは失敗以外の何物でもありません。臆すると相手に呑まれます。ところが重心を前にかけて前に転べば一瞬フワッと足元を掬われていても、倒れた場所は自分の進みたかったその先に進んでいるわけです。玉木さんは前に転べる人です。これは表現者としてとても重要なファクターであり、だからこそ、彼は殻を破り続けて常に高いところへ登っていける。
そして、何よりもフィジカルが本質的にタフです。今朝にはもうデンマークへの機上の人となっており「次の大阪公演まであと一ヶ月ほど、また修行し直そうと思います。これからデンマークに帰ります。また7月のリサイタル大阪公演、スライドジャパンの公演でお会いしましょう!また磨き直しておきます。」とは本人の談。この体力に驚くばかりです。
東京公演の殻を破り、さらに音楽の高みに登る玉木さんの次のステージである大阪公演。ご期待ください。


玉木 優 トロンボーンリサイタル 2016
 
大阪公演・2016年7月01日(金) 19時開演
豊中市立アクア文化ホール

プロフェッショナルとして15年、
トロンボーン奏者・玉木優は新たなステージを迎える。
日本、アメリカ、スイス、デンマーク。
世界を巡り、たどり着くリサイタル。
「殻を破る」決意、再始動。

共演:城 綾乃(ピアノ)

チケット:全席自由 2000円
大阪公演 → チケットぴあ(Pコード: 286987)
ほか、主要楽器店で取り扱い中
 
詳細:http://www.yutamaki.com