「令和」の表記

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さて「令」、元号が発表された際の筆書きの字形と一般書体で使われているフォントの字形、それからそれから、義務教育の教科書で使用されている学参書体の字形がそれぞれ違っていますね。


【ノーカット】菅官房長官が新元号「令和」を発表 安倍首相は談話を発表


例としていくつか表にしてみました(おまけにUD書体も入れています)。
ちなみにこれらの書体を開発しているモリサワさんは早速新元号の字形に関する発表をしております。
教育の現場で、これらをどう教えていくのか、かなり興味深いです。
補足として、学参書体がなぜこのような形なのかというと、義務教育で漢字や仮名を習う場合「書写」での楷書の書き方ルールに則って習うという慣習的な原則があり、そのために開発された教科書体と呼ばれる書体(学習用楷書体と呼べば良いのかしら)の字形を基準に他の明朝体やゴシック体も、点、トメ、ハライなどの形状がデザインされているのです。結果として中国で使用されている書体(宋体や黒体)に似ているのが面白いところです。
ちなみにですが、字形のデザインは手書きであってもフォントであっても「間違い」というものはありません。字はぶっちゃけ読めれば良いのです。なので正しいとか間違っているとか統一しろとかいう論争は無意味ですよ。
これは文化庁でも提言されていることで詳しくは「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)」をご一読ください。

www.bunka.go.jp

 

常用漢字表の字体・字形に関する指針: 文化審議会国語分科会報告(平成28年2月29日)

常用漢字表の字体・字形に関する指針: 文化審議会国語分科会報告(平成28年2月29日)

 

 


「じゃぁ、学参書体ってどんな意味があんねん。」みたいな話になるのですが、ものすごーく分かりにくい例でいうと『なんで小学校の金管バンドではヘ音記号のCをレって読ますねん問題』と似ているかも、といったところかしら。
最後に「UDデジタル教科書体R」についての開発秘話を掲載したこちらをご紹介してこのエントリを終えることにします。
教育出版「国語教育通信・ことばだより(2018年秋号)」

https://www.kyoiku-shuppan.co.jp/tsushin/files/18as_01kokugo.pdf?fbclid=IwAR1siJDpVabWsaJe5_EknRt43nSBUcS-7eVwCHy5EGXTqEfe9y7abld-GFY