縦組み

ほとんど縦組みの箇所がない右開きの通販カタログなどを見ていると、もう最近は、日本の本(冊子)には何故、右開きと左開きのものがあるのかが分からなくなっている人(また右開き左開きという意識自体を失っている人)が多いのではないかと思ってしまいます。

実際90年代末くらいから節見出し以外は全部横組みなのに右開きのハウツー本とか増え始め、私もそういうデザイン依頼を割と受けて編集者と喧嘩したりしてましたが結局受注仕事の性(さが)で押し切られることが多く、結果ヘンテコな本を送り出してしまった情けない思い出も割とあります。

というか当時の趣味系の実用書は特に、章・節・項・本文・キャプション・コラムのディレクトリが崩壊した編集が増え始め、デザイン上でどう整理して見せるかに終始するだけで終わってしまう仕事が多かったように思います。

これって、90〜00年代当時の出版界の悪循環(版元は薄利多売のため外注の編プロに仕事を安く丸投げ→編プロは若手を育てる余裕なく編集のイロハを教えられず→版元も管理進行以外の仕事を若手が覚えられず仕事の良し悪しの判断が不能)も関係してる様に思います。

まぁ、そうやって編まれた付け焼き刃な本は売れなくなりますよね。何がどこに書いてあるのか分からない・読んでも意味の分からない紙の束なんて誰も買わない。そして悪書は良書も駆逐してしまう。ちゃんとした本まで売れなくなってしまった。でも10年代から状況は変わってきました。

10年代に入ってからは、ちゃんと本を作れる若手が増えた印象です。薄っぺらいエディションやライティングをする人々が本では食えないからネットに引っ越してしまったので、「本とは何か」を考えてじっくり編む人が出版界に復活してきた感じです。