同化

ジャケットデザイン制作のため12月発売の某アルバムのエディションを聴いています。ブックデザイン(装丁含む)もそうなのですが、この仕事の喜びは最初のリスナー or 読者として作品に触れられることです。まだ何者でもない真っ新な作品というのはこの瞬間でしかないわけで、格別の輝きがあります。
そしてここから作品が纏うに相応しい装いを整えていくのですが、これがなかなかの作業。矛盾するのですが、僕は出来ればこれらの作品の「真っ新」な状態で皆さんに届けられることが一番良いと思うのです。しかしながら「形のない」状態で作者・作品の意図を伝えることは本当に難しい。実に悩ましい。
大事なのは、これらの作品は「私の表現であってはならない」とこだと思っています。私の仕事は「作者の作品そのものを鑑賞者に出来るだけダイレクトに味わっていただく」ことです。デザインが作者・作品と同化して表現そのものに溶け込んでしまうこと。作品と鑑賞者が直接向き合える状態が最高。