愛してるよオンキヨー。

何年か前、アルバム制作の打ち合わせでVIPなミュージシャンと雑談してた時に氏が「そりゃあハイレゾと圧縮音源の違いは歴然だよ。でも実際さぁ、僕だって普段はMP3で普通に音楽聴くし(CDや配信用の圧縮版は)それで耳心地良くなる様に僕らもデータを調整してミックスダウンするんだし」って言ってたのを思い出した。

私も氏をはじめ、多くの方々とスタジオやレコーディング現場の立ち会いをしているので、最高の音響環境で再生される音がどれだけ迫真なのかは知っている。しかしながらそれはすでに生演奏ではない。レコーディング&ミックスによる音楽芸術表現はもちろん存在するが、それを富裕層を含め多くの人が「最高の音響再生環境」で聴くという時代ではなくなっている、ということなのだし、最高の音響環境が音楽表現にとって必ずしも重要なことではない、ということでもあると思う。

僕の家に最初にやってきたフルサイズのステレオシステムはオンキヨーだったし、今もオンキヨーのミニコンポ時代のアンプとスピーカーをPCに接続して音楽を楽しんでいる私ではあるが、流しているのはほぼAppleMusicを通しての音源である。しかしながらそれはHomePodにも接続されているので場合によってはそっちを通して楽しむこともある。また、AppleMusicという意味では、車載スピーカーでもイヤフォンでもスマートフォンやタブレットのスピーカーを通してでも音楽を同じように楽しむ。 

それぞれのシチュエーションに合わせた音楽の楽しみ方の多様性の方がリスナーにとって大事なのであって、ハイエンド製品なのか否かということ自体を富裕層を含めて求めている時代なのではない、ということなのかもしれない。

とはいえ、オンキヨーのアンプもスピーカーもまだまだヘタる兆候がないので使い続けるでしょう。愛してるよオンキヨー。

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