鬼が笑いたいなら

笑い死にさせたいくらい来年の話をしたいのが芸術系職業人の本音でしょう。デザイナーやミュージシャンなどという仕事は受注されてナンボですから、先の予定が決まっているほど経済的な余裕が約束されるわけで、「これから忙しくてカナワンですよ」と言いながらホクホク顔なのは大体そういうコトなのだ。いつ、どういった理由で「売れなく」なるかワカランですからね。
しかし一口に芸術系といっても仕事のスタイルには少なくとも二つのタイプが存在します。「カンパケ*1型納品」と「パフォーマンス型納品」です。前者はデザイナー/画家(イラストレーター含む)/作編曲家/文筆家/陶芸家など、後者は演奏家/役者/舞踏家/カメラマン/プロスポーツ選手などです。
前者はクライアント(顧客)に対して完成品、もしくは完成に極めて近い状態のモノを作成して納品しますが、後者はその職能をクライアントの目の前で直に披露することで納品します。
だからそういった作品の情報が皆さんの手に届くころには、前者の仕事は完成しており、後者の仕事は今はさにこれから始まる、といった感じになります。
本日の例はまさにそういった仕事の一種です。
一介のグラフィック・デザイナーと世界的なピアニストを引き合いに出すのは非常におこがましいのですが、コンサートをパッケージするという意味でのボクの仕事(グラフィック・デザイン、ここではまずフライヤのデザイン)は既に完了しておりますが、対して山下さんが手がける実際のコンテンツ(演奏)はまだ具体的なプランは全然決まっていないと思います。でも、インプロヴゼーション(即興演奏)を伴う氏の音楽は本番で神が降りてくるからこそ面白いという面がありますので、絶対楽しめるモノになることは間違いありません。佐渡&東フィルとのガチンコ対決、是非お聴き逃しのなきよう。

東京オペラシティ ニューイヤー・ジャズ・コンサート2008
《エクスプローラー》〜山下洋輔の新しいピアノ協奏曲〜
2008年1月12日[土]18:00〜
出演:山下洋輔(Pf)/佐渡裕(Cond)/東京フィルハーモニー交響楽団
お問い合わせ:東京オペラシティチケットセンター 03-5353-9999

*1:完全パッケージの略