defence

事務所が麹町なんですが、裏はもう赤坂なんですね。ミーティングルームの窓からも高級なホテル群の見事な摩天楼が見えるんですが、そのひとつに今泊まっとるですよ。チューゴクの一番エライ人が。
もう街は大騒ぎです。いつもの国家要人の警護の4倍くらい(見た目オレ調べ)警官がいます。ホテルへ続く道は全てバリケードが設置され、いつでも封鎖可能。ありとあらゆる警察&機動隊車両が行き交い、空もずっとヘリコプターが飛んでます。中国人の活動家によると思われる街宣車がトンでもない大音声でまくしたててます。
もうね、映画みたい。ぞっとしちゃう。警官うっとおしいなぁ、とか思っちゃうんですね。急いでても信号無視出来ないし。
けどね、夜になって事務所出ると、バリケード張ってた小道のところでね、まだ防弾チョッキの警官が直立不動でいるわけです。エライ人がいる間、夜を徹して警護です。交代とかしてるでしょうけどね、不安と戦いながら立ってるんですよ。だって撃たれちゃうかもしれんわけですよ。そんなにガタイがありそうでも若そうでもない方ですよ。刑事でもないし張り込みじゃないからアンパンと牛乳も無しですよ(イメージ)。一人だから「ヤマさん、今夜はヤツ、シッポ出しますかね」とかも言えないんです(イメージ)。映画だと重要キャラじゃないから突然撃たれてもすぐ場面変わっちゃう人扱いですよ(もう全部イメージ)。
でも文句も言わず職務に就いとる訳ですよ。この方とエライ人とどっちの命が重いかって、実は同じなのにですよ。
護るってスゴいことだな、と。世の中色々あって、エライ人もその件で日本にいらしたんでしょうけど、我々も含め、目に見えるとこ、見えないとこで沢山の命に命を護られてることを実感せにゃいかんな、そう実感すればみんなもうちょっと安心できる世の中になるのにな、と思ったわけです。
そしたら、無性に警官がいとおしくなりまして。でも、涙流しながらアンパンと牛乳を差し入れたら逆に怪しまれるかな、と考えながら家路についた次第。