夏への境界線

朝、新宿駅のホームに降りるとドシャ降りだった。あいにく傘を持っていない。四ッ谷で降りたら事務所まで走るしかないなぁ、と考えながら中央線に乗り換える。
ところが四ッ谷駅の改札を出て驚く。ドシャ降りどころか雨が一滴も降った形跡がない。わずか一駅、というか四ッ谷は新宿区だ*1
見附橋から新宿方面を見やると、街が悪魔に占拠されたが如く上空には魍魍と雨雲が渦巻いている。しかしボクは「雨の境界線はどの辺なんだろう」と少しワクワクする。
子供の頃、雨の境界線に出くわして弟と大はしゃぎした思い出が甦る。道路を挟んでこっちの家々は雨に濡れ、向こう側はカラカラ。オマケに陽が差し、空き地の濡れ草の上をそよいだ風が、ボクたちの鼻に夏の香りを運んできた。
高円寺駅を使っているmadokaさんがプンスカ怒りながら遅刻してきた。ドシャ降り過ぎて家から外に出られないくらい荒れていたそうだ。雨は新宿より西の中央線沿いにヤンチャしてたのか。
四ッ谷ではとうとうその日は一滴も雨が降らなかった。
いよいよ夏が来る。

*1:正確に書くと四ッ谷駅は旧江戸城の外堀の底、四ッ谷見附橋の真下にあり、橋を挟んで東側の城内が麹町(千代田区)、西側の城外が四ッ谷(新宿区)