お安く豊かな音楽を。

楽器は得てして高価なものが多いが、そうとも限らないものもある。
所謂「教育楽器」と言われる類いのものだ。具体的に言うと鍵盤ハーモニカや樹脂製のリコーダー、タンバリンなど。全部足しても10000円でお釣りが来る。
しかし、いずれも小学生が音楽の授業で使ってオシマイ、なんていうには勿体ない高度な表現力を備えている。殆んどの人が全くマスターしないまま義務教育を終えてしまうため、自分の演奏能力を楽器の性能と勘違いしてしまうのだ。
勿論、原因の一つに教員自体がこれらの楽器をまともに演奏出来ないので子供に教えられない、という現状もある。今の教員養成課程では限界がある。プロフェッショナルの演奏家の中にはこういう楽器の演奏と指導が出来る方々もおられるが、まだまだ数が少ない。ましてや教育楽器だけで演奏活動をするプロフェッショナルのアンサンブルグループなんてもっと少ないだろう。アマチュアだって少ないのではないだろうか。
実にモッタイナイ。吹き方一つでフルートのようにもケーナのようにも尺八の音色にも変化するリコーダー*1。哀愁の音色で管楽器のフレージングが可能な鍵盤楽器であり、しかもコードだって吹けちゃう鍵盤ハーモニカ。叩く場所ひとつで品のいいピアノから強烈なビートまで可能なタンバリン・・・。これにオルガンかアコースティックギターを加えれば完璧だ。アストール・ピアソラだってジョアン・ジルベルトだってミシェル・ルグランだって山田耕筰だって久石譲だって何でも来いだ。
ボクは実はリコーダーが割と得意*2で、前からずっとこんなことを考えているノダ。是非広めたい編成なのだが、なかなか実現するキッカケがない。「自分が手にしている楽器に無眼の可能性がある」ことを子供たちに、大人に伝えたいなぁ・・・と、教育音楽の出版物の打ち合わせをしながら今日も考えた。そろそろやるか。

*1:ここではピリオド楽器(古楽器)としての奏法は封印。

*2:最近ちいとも吹いてないが、それでもトロンボーンより自信がある。