伝える

ボクは情報を視覚化して伝えることを商売にしている。その点においては人より少しだけ訓練されているし、こだわっている。
表現というのは如何なる場合でも自己完結してはならない。人に何かを伝える意志がないのであれば、それは表現とは言わない。単なる現象である。
例えばブログ。公開している限り、誰かに何かを分かって欲しいという希望が何処かにあるはず。
例えば音楽。人前で演奏する限り(YouTubeで発表するにしても)、何かの主張があるはず。
嬉しい、寂しい、腹立たしい、楽しい、哀しい、愛しい、悔しい、欲しい・・・
人の感情は様々、状況は千差万別、伝えたいことはいくらでもある。伝えたい手段もいくらでもある。
ただ、あなたが特定する誰かに何かを正確に伝えたい場合、その方法論は特に吟味しなくてはならないし、そこに埋め込む情報は整理しなければならない。ここを間違えると自己完結に終わってしまう。
当たり前だが、自分は相手とは別の人間だ。究極、お互いに完璧に理解しあえる筈がない。それどころか、普通は伝えたいことの殆んどが相手には伝わらない。ほとんどの場合、「相手に伝わった気になっている」だけだ。あなたが伝えたいことと、あなたが実際伝えたことには大変な情報量のギャップがある。
だからこそ、いつも基本に立ち返って書き出してみる必要がある。
Who(誰が) What(何を) When(いつ) Where(どこで) Why(どうして)How(どのように)。5W1H、学校で語学の時間に習ったはずだ。でもこれは何も語学だけの話ではない。情報の基本だ。

例えば
Who(誰が) mittenが
What(何を) 朝ご飯を
When(いつ) 日曜日
Where(どこで) 茶の間で
Why(どうして) ものスゴく腹が減っていたので
How(どのように) がっついた
 
これだけでも犬のハラペコが伝わってくる。
 
そして、それを伝えたい相手にどのような手段で伝えれば共感してもらえるか、これが表現である。文章、写真、音楽、踊り、絵画、会話、何でもいい。組合せてもいい。あなたに出来て、相手に最も効果的な手段を吟味したい。
そして相手に共感してもらえて初めてあなたの気持ちが相手に表現された(「おもて」に「あらわれた」)ことになる。
 
今回はこれを写真で伝えてみる。

かなりハラペコ感が伝わるはずだ。これが表現。
 
じゃぁ、写真で何でも伝わるかというとそういう訳でもない。
 
Who(誰が) ボクが
What(何を) 撮影で使ったフェイクのリンゴを
When(いつ) 今日
Where(どこで) ボクの机で
Why(どうして) 本物と勘違いして
How(どのように) 食べようとした
 
これを写真で伝えてみる

何か伝わらない。リンゴをかじろうとしてるだけだ。
写真だとリンゴがフェイクか本物かということは伝わらないからだ。
フェイクがよく出来ていればいるほど伝わらない。
これでは表現になってない。
 
さて、宿題です。
フェイクのリンゴであることをブログで伝えるにはどういう手段が考えれられるでしょう。
ただし、リンゴは撮影用に購入したものですから破壊は出来ません。