つけ汁饂飩

知人の出演する演奏会を聴きにいく前に腹ごしらえに入った饂飩屋「麺打ち塾 地粉屋手打ち駕籠休み 氷川参道店」。前から気になっていたお店。
讃岐で青春時代を過ごした日々、毎日のように饂飩を食っていた。いわゆる讃岐饂飩ってやつだ。大学で関東に出て来て、やはり最初は恋しかった。讃岐饂飩ブームの兆しが見えて、都内に味は本格的な讃岐饂飩屋が建ち始めたとき、最初は嬉しかった。
しかし段々違うのではないか、と思えてきた。
安い「はなまるうどん」は兎も角、800円も1000円もする讃岐饂飩とは何ごとぞ。讃岐饂飩の良さは美味さだけではない。安さと「セルフ方式」の手軽さだ。小腹がすいたから、でもお金ないから、仕事や勉学や部活でゆっくり食べる時間がないから、サッと行ってサッと食うのだ。もったいぶって食べる大したメシではない。そしてその役目は駅やその周辺にある立ち食いソバ屋が担っているではないか。
それに食べ物には風土がある。最初は濃いな、と思っていた関東の饂飩汁だって、それは色の話であって、麺との絡みという前提があるのであって、優劣をつけられるものではない。あるのはその土地その土地で育まれた美味いご当地の饂飩である。
さて、関東のつけ汁饂飩は、美味い。讃岐饂飩とは全く違う個性。合鴨だったり豚だったり茸だったり冷汁*1だったり色々あるけど、兎に角美味い。
ここの麺も相当コシがあるが、つけ汁とよく絡む。大宮氷川神社へ参拝の折には、是非食していただきたい。

*1:これは宮崎の冷や汁とは違う物。埼玉は加須の名産の胡麻味噌ベースのつけ汁饂飩である。