キリヌキに乗せるココロ

先日、中学生の女の子たちが、職場体験学習というのに2日間来ていて、ナビゲーターをしたんですね。で「キミたちさぁ、雑誌って買ってる?」って質問をしたら「買ってますよー」って返ってきた。
今日び雑誌は売れてないから、ちょっと意外な答えだったので「一ヶ月に何冊くらい?」ってさらに聞いたら、少なくとも3冊、姉妹で8冊って子もいたのね。これまた意外に多くてビックリ。中学生のお小遣いの結構な額を雑誌に充ててるよね。
内訳はアイドル雑誌やファッション誌なんだけど、友達の好きなアイドルのページなんかを切り取って頻繁に交換しあったりしてるんだって。雑誌だからそういうことが気軽に出来る。
これって、物理的には紙ッペラが移動してるだけなんだけど、雑誌を媒介して気持ちを交換しあってるんだよね。お互い受けとったものは自分の大好きなアイドルのグラビアだったり、お気に入りの服の情報だったりなんだけど、送った相手のちょっとした思いやりなんかを《目に見えて触れる》モノとして所有してるんだよね。
これはさすがに今の電子媒体では不可能だよ。だってデータをコピーするんじゃないし、URLを教えるんでもないし、ましてやプリントアウトをあげるでもない。
あげるってことは、自分の手元からは無くなるってことだよ。そこに友情やコイゴコロや家族への愛情をチョイと切り取って乗せるんだ。さすがにディスプレーに表示された情報には、今は上手く乗っからないと思うんだ。手触りや気持ちってライヴだから、やっぱり何事にも代え難い価値があるんだよ。
ボクは本のデザイナーだから、せっかく作った本や雑誌を切り取るなんて勿体ないし、それは破壊行為だとツイツイ思っちゃうんだけど、そうじゃないんだよって彼女たちに教わった。本が生き残る道もまたライヴ感の中にあるんだって。