タイミングの良い人。

前に「タイミングの悪い人」というエントリを書きましたが、今日はその逆でタイミングの良い人の話。
いつも居るという訳ではないのに、丁度良いタイミングで居合わせてオイシイ所をもっていく人っていますよね。逆に大目玉を喰らうタイミングで上手い事居合わせなくて、その人だけ叱られない、みたいな。要領のいい人とも云いますね。
前にも書きましたがタイミングの悪い人というのは行動が《ほんの少し乱暴》なんです。だから自分は丁寧に行動してるつもりでも、最後の最後で事の成り行きをちゃんと見届けないので、次に何が起こるか予測出来ない、または見誤る。
 
では「タイミングの良い人」はどういう人なのか。
 
優秀なパーカッション奏者などを見ていると分かるのですが、彼らはまず準備を怠りません。自分が使う道具のメンテナンスとセッティングとウォーミングアップをキチンとリハーサルが始まるまでに自分で済ませています。演奏のクオリティを道具やボーヤやコンディションのせいにしません。
次にオーケストラやバンドを一歩引いた目線で見渡します。自分がいる位置を俯瞰して座標として捉えます。同時に自分と共にプレイする人の位置も把握します。
そして演奏では、自分の示したテンポをかたくなに貫き通すのではなく、いつもその都度の「主役」に寄り添うように示していきます。しかも主役に頼るのではなく、一緒に伴走してあげるイメージ。主役のストレスを取り除く感じでリズムを繰り出します。
遂に自分が主役になる場面。ここで彼らは我を忘れてパフォーマンスに没頭したりしません。勿論聴衆が欲しいと思うタイミングでカタルシスを次々と繰り出すのですが、常に頭は次に共演者が入ってくる場面を見据えながら進めます。
そして演奏が終わると道具を丁寧に片付けます。ゆっくりという意味ではありません。会場に来て道具を準備をしているときに考えた仕舞い方を再現して行くイメージです。だからどんなに急いでいても混乱しないし、道具も壊さない。
 
つまりタイミングの良い人というのは、用意周到な人なんです。実は勉強熱心で練習熱心。普段から小さいトライ&エラーを細かく積んで経験値を増やし、道具を丁寧に扱ってメンテナンスを怠らない、面倒臭がらない人です。熱心ですが好きでやっているため、努力している感覚は少ないかもしれません。
次に、まず自分の働くフィールドに入ったら全体像を把握して自分の位置と関係者の位置関係を俯瞰する観察眼をもつ人です。思い込みだけで行動しない人です。
そして実働では、本当の相手(演奏の場合は聴衆)がどう行動すれば喜んでくれるかを考え行動出来る人です。どんなにその人の見せ場であっても「その人がいかにオイシイか」ではなく「相手が何をすれば喜んでもらえるのか」を見計らう力です。
最後に撤収の美しい人です。それは最初に終わりの事を考えてあるからです。
 
だから、授業中いつも寝ているのに指されるとちゃんと答え、サッカーのゴール前のパスが送られた所に必ず居て、クラスやオフィスでカワイイあの子をゲットでき、上司に叱られる場面には遭遇しないで、とっとと昇進してしまいます。
でも忘れないで下さい。彼らは普段から小さいトライ&エラーを積極的に数多く経験し、常に全体像と自分の位置を考えながら行動し、面倒臭がらずにアイテムのメンテナンスに励んでします。
それと今回、何故パーカッション(打楽器)奏者に焦点を当てたかというと、彼らのリズム感・タイム感・テンポ感というのは、そういって養われていった賜物だからだと思うのです。
パーカッショニスト出身の指揮者やドラム担当にバンドリーダーが多いのは、あながち気のせいではないと思います。彼らは自分のテンポ感で皆を引っ張っている訳ではないのです。
要領(タイミング)とは養われるものです。