タイプライター

タイプライターをご存知でしょうか? かつてはビジネス文書の作成にはなくてはならない機器であり、リロイ・アンダーソンの音楽にもなっている程メジャーな存在でした。家庭に一台はPCがあるような時代となった今でも、そのインターフェイスであるキーボード配列などは昔と大差ありません。
ところがそれは欧文タイプの話で、和文タイプとなると随分違う形をしております。しかし、日本においてもビジネススキルとして和文タイプが扱えるのは大変有用だったようで、商業高校に通っていた母の成績表にも「和文タイプ」というカリキュラムが載っていた(出来の程は覚えておりませんが)のを思い出します。
さて前置きは良いとして、今回のemixご実家ヴィンテージシリーズ(?)は和文タイプライターです。和文といっても「仮名と数字」くらいのヤツです。どうやら子供の頃emixが生意気に「ワープロが欲しい(これも随分古い存在になりましたなぁ)」と宣ったところ、買ってもらったのがこの《「とんでモン・ペ」タイプライター》。

少なくとも欲しいのはワープロですから、はっきり言ってコレジャナイロボの心境でしょう。

とはいえ、もらった後はまんざらでもなかったらしく、ちょこちょこと使っていたようです。ワープロはおろか、本物の和文タイプとも随分見かけが違うインターフェイスですが、あなどるなかれ、なかなかしっかりしたギミックなのです。

まずは、印字するカーボン紙を巻くドラムを左にガシャンと寄せます(今回は肝心のカーボン紙がないのと、紙を固定するベルトが劣化しているため、完全な実演ではないのでご勘弁)。

次に文字盤の外側を使うか内側を使うかを選びます。右に回すとダイヤルの内側、つまり印字ベルト(黄色い透明カバーで覆われた中身。ひだ状のベルトの上下に文字判がセッティングされています)の下側、左に回すとダイヤルの外側、つまり印字ベルトの上側に打刻用のハンマーがセットされます。

次に文字を選びます。書体はおそらく写研のナールのMです。玩具メーカーがちゃんと写研と書体の利権関係をクリアにして使用していたのかどうかは不明。

で、打つ文字がきまったら、「文字を打つキー」というやつをガシャコンと押します。押すとハンマーがベルトの文字判を押してカーボンに打刻され、ドラムが1文字分回ります。スペースキーは左にあります(空おくりキー)。これを押すとドラムが1文字分空おくりされます。
このタイプライター、なんと縦書き専用です。1行目の最後の文字近くにくるとドラムに「行代えして下さい」という字が見えてきます。そしたら手動で1行分ドラムを右へ送ります。
こういった要領で文字を打っていくのですが、作りもなかなかしっかりしてます。修理するところは前述の通り、カーボン紙を挟むゴムベルトを取り替えることくらいなのですが、これを販売していたポピーというメーカーは親会社であるバンダイと合併してなくなってはいないのですが、まぁ交換部品など製造中止でしょうから自分で作るしかありません。落ち着いたら試してみようと思います。請求書とかこれで作ろうかな。でも縦書きだしな。まぁお楽しみに。