美味し過ぎない

先日、ギタリストの安部一城さんに三軒茶屋にある餃子屋さんを教えていただいて、「味はどうなんですか?」と聞いたら、「う〜ん、スゴくいい。美味し過ぎないんだよね〜」。 ん?? で彼の出演したライヴの後に早速行ってみたんだけど、うん、確かに美味し過ぎない。全く刺激的ではない。主張してない。本当にただの餃子。形而上学の餃子。餃子のイデア。毎日食える味。ずっと食える餃子。
ボクの心がけているデザインは、そのまさに「美味し過ぎない」である。けっしてコンテンツを邪魔しない、コンテンツの良さを最大限に引き出す。けど、ずっと見ていられる、とんがっていない、飽きがこない、それそのものとして佇んでいる、当たり前のデザイン。
日々、デザイン誌を賑わす素晴らしいアートワークを手がけておられる方々は絶対必要で、時代の申し子として教科書や美術史に残るような仕事を続けてほしい。
ボクはそういう歴史に名が残るようなタイプのデザイナーではない。先進的な挑戦もなければ、既存の概念に対するアンチテーゼもない。いつか詠み人知らずな仕事となろうとも、そこに、もっともコンテンツが相応しく自然に在るデザインでありたい。
だから・・・美味し過ぎないデザイン。