危機感

スタジオジブリ『熱風』7月号の特集は「憲法改正」でした。この特集を読んで、ここ最近ボクが感じて発言していた事にピッタリはまっていたので随分驚きました。
なので、最近Facebookでコメントした文章たちを再構成して以下にまとめておきます。
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ボクが小学生を過ごした頃は、ボイジャーが木星探査に行ったりスペースシャトルが打ち上がったり、ガンダムに登場するスペースコロニーは目前だと本気で思い、ランボルギーニやフェラーリなどのスーパーカーがブームとなりクルマはその内本当に飛ぶのではないかと思われ、大型恐竜の発掘が進み「のび太の恐竜」が公開され、遺伝子工学が対等しクローンなんて言葉が出始め、ビルがどんどん高層化し、大型の橋が海峡を越えてどんどん架けられ、産業全体にコンピュータがどんどん導入されファミリーコンピュータなど子供の領域にまで進出、音楽でもシンセサイザーが生楽器を凌駕すると信じられキーボード型・管楽器型・ギター型・ドラム型のデバイスが作られて実際テレビの音楽番組から生オケが消え、レコードが七色に輝くCDに代わり、インスタント食品やファーストフードが流行り、ビジネスマンとマスコミと観光客が最新鋭の旅客機で世界にどんどん出かけていった時代です。
新しい科学技術の発展と平和利用(と当時呼ばれていたもの)が必ず世の中を幸せにしてくれると信じていた時代でした。
より新しいモノに価値がおかれ、古いモノ・汚いモノはどんどん壊され塗り替えられて行った時代です。
それが90年代になってバブル崩壊、阪神の震災とオウム事件、神戸連続児童殺傷事件で日本はカウンターパンチを喰らうんです。科学技術がどんなに進んでも解決しない問題がどんどん出てくる。どんなにインターネットで世界が繋がっても「ラブ&ピース」なんていかず、ニューヨークテロがおき、理不尽なイラク戦争がおき、景気は回復せず、東日本が津波に呑まれて原発が崩壊してしまう。
すっかり自信がない日本の世相は、一発逆転なんて夢見て逆サイドに振れはじめています。時間をどんどん巻き戻して、関東大震災・世界恐慌後の満州事変前夜、1930年代みたいになってる。
昭和モダンの華やかで洗練された時代がいつの間にやら軍事独裁になっていった時のように。
ボクは、一昨年前の震災の時に多くの人が「負けないぞ日本」「今こそ贅沢は敵、買いだめするな」みたいな貼り紙を自ら書いて家の軒先やクルマに貼っていたのを見て、「死して報国」「欲しがりません勝つまでは」って、言わされてたんではなくて、自分から言ってたんだって気付いて、コワくなりました。人は自分で制御出来ない大変な経験に出くわすと、周りの雰囲気に呑まれて冷静な判断が出来なくなるのだと思います。戦争の本当のコワさって為政者ではなく自分達の中にあるのだと思います。
昭和モダンは1930年代、第二次大戦の集結が1945年。たったの15年です。あのときだってモボ・モガを標榜していた人々は、誰もあんな結末を予想もしてなかった。けど、世相に呑まれて「欲しがりません勝つまでは」なんて同調して提灯もってワイワイいいながら赤紙もらった友人知人を戦地に送り出しちゃったんです。
子供の頃は学校で明治維新以来、日本は天皇を中心に殖産興業・富国強兵が叫ばれて亜細亜を侵略し国民を疲弊させた結果、戦争に負けたと教えられました。
でも違った。平和で豊かな時代があったのに、1930年代にボタンを掛け違えた日本のみんなが軍事政権の誕生を煽ってしまった。今考えれば責任逃れの教育です。「悪いのは時の軍部や政権で、市井の人々が無責任に煽ったり無関心だったから」とは言わない。それはイジメている意識がないクラスメイトが誰かを自殺に追いやるのと同じ心理。
今の状況に本当に危機感を持っています。