クルクル来るとワイがワイルじゃ

大塚All In Funにて「煉獄ディナーショー」なる催しに伺う。前から気になっていた蜂鳥姉妹というシャンソンユニットが出演するのだ。蜂鳥姉妹というのは蜂鳥スグル(vocal)+蜂鳥あみ太=4号(vocal)+佐藤真也(piano)で構成されたトンチキな人達なのだが、何と言うか、見た目より〈恐ろしく〉ハイクオリティーな音楽を聴かせよります。
本日はクルト・ワイルを中心に据えた企画。ワイルの生涯を軸に共演のあやちクローデル×イーガルと共にその音楽を超アヤシく紐解く前半とそれぞれの持ち歌を披露する後半で構成され、本当に独特なエロティシズムを超上質な歌唱力とピアニズムで聴かせ、とても惹き込まれてしまった。
この2つのユニットはボクにとって最近の音楽体験の中でもかなりのカウンターパンチになった。昨年から今年にかけて、古楽〜コンテンポラリ〜オルタナティブ〜エレクトロ〜ミニマル〜雅楽〜能楽と聴いてきたボクの耳に再び入ってきたワイル音楽とシャンソン、ピアソラや宮澤賢治や林光や武満の歌曲や日本の民謡は、地下音楽的な響きの中で新しい驚きを持って迎えられた。・・・なんというかこんなに世俗の欲にまみれた音楽が精神的に崇高だとは考えたこともなかった。
余りに刺激的過ぎる彼等のビジュアルに惑わされるなかれ、いや、惑わされろ。そして、その奥にある音楽の力に惹き込まれるな、いや、惹き込まれろ。淫美で耽美な音楽の地獄に堕ちていくがいい。