スタンス

強豪のスクールバンドや市民吹奏楽団の皆さんの高度な演奏への努力には、勿論、惜しみない拍手を送りたいが、僕としては、部員や楽団員が3〜5人であっても、楽器編成がバランスよく揃わなくっても、コンテストなどには出なくっても、けっして演奏する姿勢としてテクニック的なイージーさや譜面の簡便さに踊らされず、人が聴いて愉しい音楽作りに向かっている活動を応援したいし、支えていきたいし、そういう活動をもっと知りたい。
世界にはそういったブラス・バンドや室内楽がたくさんあるし、そういった多様性こそが音楽の愉しさだと思っている。
そしてこのことは、伝える側(ボクも含めたメディア制作現場、音楽出版、プロの音楽家)のスタンスの一つとして、とても重要な事だと、最近特に感じる。
勝敗の中に語られるドラマ性や、パッと聞き(聴き)の耳心地の良さや、ノスタルジーやカタルシスに寄った姿勢は、初動の反応も良いし、制作予算・時間などのコストパフォーマンスも良いし、ビジネスモデルとしてのフォーマット化やパッケージ化は簡便だが、どんどんトゥー・マッチな方にエスカレートし、飽きられるサイクルも早まり、結果として消費のチキンレースになる。
多様な価値を・認め・探し・地道に伝え続けることは簡単ではないが、そのスキルを持っているからこその我々はプロフェッショナル。お互い頑張っていかねばと思う。