嘘んこ城《入門編》

さて、kudoさんからお便りをいただきました。

…熱海駅から見える熱海城って純粋に観光目的で建てたものらしいですね。立ち読みした本に書いてありました。
それでもシャチホコの高さは日本一と書いてましたが…本当!?
…おしえてえらいひと!


これはシロニストのボクが答えないわけはないでしょう。とはいえ、みなさんに「お〜い!戻ってこーい」と言われる領域まで進んでしまうのもアレなんで、今日は入門編ということで行きましょう。何の? 題して『嘘んこ城入門!』

城って言うと、皆さんは普通「天守閣」と言われる建造物を思い浮かべますよね。シロニストは断固「違〜う!」と言いますが、いいんですいいんです。今日はその話をしますから。だから今日は「城=天守閣」と思って聞いてください。
 
日本で天守と言っても色々ありまして、まず大まかに「現存」「嘘んこ」があります。「現存天守」とは江戸時代までに建てられ、実際に使用されていたもので、2007年現在12棟しかありません*1。これに対して「嘘んこ天守」は山のようにあります。
さらに「嘘んこ天守」の中にも4種類ありましてそれぞれ「復元天守」「復興天守」「模擬天守」「天守閣風建築物」、といいます。
 
「復元天守」
建築物として外見を忠実に復元した物をいいます。中には建築方法まで忠実に再現したエラいものもあります。
例:掛川城、白石城(木造にて完全復元)/名古屋城、岡山城(鉄筋コンクリート造) など
 
「復興天守」
外観をだいたい復元したものです。見栄えを派手にするために手を加えたものもあります。
例:大阪城(豊臣天守と徳川天守が合体)/小田原城(ほぼ、江戸期小田原城天守なのだが本来なかった高欄が市の要請で取り付けられてしまった)/小倉城(層塔天守のため、創建当時は最上段を除き装飾的な破風などは一切なかったんだけど、これは破風だらけです) など
 
「模擬天守」
かつて天守が存在しなかった、または存在が疑わしい場所に立てたものです。
例:浜松城(天守は存在しなかった)/岩国城(観光的配慮で違う場所に建っている)/郡上八幡城(大垣城を参考に1933年に建造、模擬には珍しく木造だそうです!) など
 
「天守閣風建築物」
正真正銘の嘘んこ城。観光用、テーマパーク施設、大学の博物館、など。
例:安土城(伊勢安土桃山文化村)/大阪青山歴史文学博物館(大阪青山大学の博物館)/尾道城(尾道商工会により1964年造、1990年閉鎖。現在、よく目立つ廃墟。)/熱海城(観光施設。1960年造。今回のお題目) など

●熱海城について
施設概要はホームページにもありますのでそちらにお任せします。昔、会社の旅行で行きましたが60年代トホホ感でいっぱいのオモシロ施設です。何故か春画が展示されていたり、近くに秘宝館なる施設があったりエロ満載なのですが、むしろ笑えます。鯱(シャチホコ)は展示物としてあるようですが何かパチモンっぽいよ。当時も見たような見なかったような。
 
これでkudoくんの質問には答えられたと思います。
みんなが読んで面白いのはココまで。
この先は面倒くさいので城好き以外は読み飛ばしましょう。
 

*1:この中でさらに望楼型、層塔型等の分類がありますがこれは今回はいいでしょう。