嘘から出た誠

さて侍BRASS「サムライ・オリジナルズ!」本番当日。ボクはフライヤ、madokaさんは当日パンフレットのデザインが仕事なので、席に座って聴いているこの時点で仕事はとっくに終わってる。ところがMCでTrpで作曲の三澤慶さんがこんな事を言い出した。
三澤「実はこの《下弦の月》という曲なんですが、アルバム録音前の四月某日にコンサートの担当者から電話がかかって来たんです。チラシ(フライヤ)に演奏曲目を載せたいのでタイトルを教えて欲しいと」
中川「ほう」
三澤「ところがその時点でボク、タイトルどころか曲も書いてなかったんですよ。でも担当の方がチラシの締め切りだからって」
中川「えっ!? じゃぁあのタイトルは」
三澤「咄嗟に『えっと、《下弦の月》です』と」
中川「何かインスピレーションでも」
三澤「い、いゃ、何となく・・・ボク口八丁ですから。曲もないのに・・・」
中川「えぇっ!? ボクは『おぉ、確かに下弦の月って感じだ。深いなぁ』って初見しましたよ」
三澤「フフフ。あなたも騙されましたネ!」
 
madokaさんとボクは顔を見合わせた。
「なんだか三澤さんに悪いことしたネ・・・」「でもそれをデザインするのがボクらの仕事だしね」
ボクらが急がせた訳じゃないんです。それは主催者の担当某女史です。
でも三澤さん、ボクたちも騙されましたよ。「おぉ、なんか幽玄なタイトルでイイなぁ」と・・・よく考えると中川英二郎さんより早く騙されてるし。
でも本日初演の《下弦の月》、素晴らしく心地よいサウタージ・ボサでした。これこそ「嘘から出た誠」ですな。