梨元勝さんの思い出

ボクが駆け出しのデザイナーだった頃、今はなくなってしまった「FMステーション」という雑誌のレイアウトをしていた時期があって、ボクの担当ページが梨元勝さんの連載でした。
毎回、原稿が到着するのが本当に遅くて、締め切り過ぎてもやって来ないなんてのはザラでした。そのくせ雑誌なのでケツカッチンですから、原稿来たら急いでやらねばなりません。泣けてきます。原稿が来たのが24時、出来上がったレイアウトを編集が取りに来たのが26時、なんてこともあり、そのくせ「otoshimonoさんはこの後どうされるんですか? 私は中野なんでタクシーで帰れますけど」とか編集がホザくもんだからブチ切れ寸前になったのも、今となっては本当にカワイイ思い出です。
途中、体調を崩されて休載されたこともあったりしたのですが(正直ホッとしてた)、ここ数日の回想報道を読むにつけ、当時のボクなんて足元に及ばない程のハードワークだったんだなぁと驚かされます。
本当に仕事に生きた方だったのですね。その手法に賛否両論あろうとも、己の価値観を信じてコツコツと己に正直に歩まれた姿は、それだけで表現者としての価値があると思います。
御冥福をお祈りいたします。