荘園の風景

装丁の素材の下調べにgoogleの画像検索を使う事がよくあります。で、日本の荘園について調べてたんですね。中高生の頃習いましたねぇ。日本では貴族政治から初期武家政治の過程で発達した一定規模の私的領有地のことを指します。
そしたら、いまでも当時の地割りや原風景を残しているところが全国に数カ所ありまして、そのひとつは大分県豊後高田市の田染荘(たしぶのしょう)、もうひとつが岩手県一関市にある骨寺村荘園遺跡です。ボクはその中でも岩手一関周辺カメラスケッチというブログに掲載されていた骨寺村荘園遺跡の写真に大変魅せられまして、是非とも装丁に使わせていただきたいと思いました(実はこういうことは稀です)。ところが、このブログには管理人さんの連絡先はおろか、コメント欄もない。あれやこれや調べて何とか連絡をつける方法を発見し、返事をお待ちしました。そしたら思ったより早くお返事を頂きまして、OKだという嬉しい回答。管理人のhozumiさんは骨寺村荘園の近所に住むアマチュアカメラマンで、地域の自然や風物詩をテーマに作品を撮り続けている方です。
そして出来上がったのがこの本。

驚きなのはアングルです。実は表には2枚の季節の違う写真を半分ずつ使っているのですが、位置がピッタリと合っている。まるで3脚とカメラをずっとそこに置いているのではないかというくらいに! ベストアングルを座標感覚で押さえておられるのでしょう。見事です。
内容は入門とはいえ相当に難しい研究書ですが、読む方に学究のロマンを感じていただければと思います。
それにしても素晴らしい出会いでした。色んなところで、色んな手段で美しいものを残そうと頑張っている人がいます。インターネットという翼がなければ出来上がらなかった本です。世の中捨てたもんじゃない。

研究入門 日本の荘園

研究入門 日本の荘園